※ HDD の分解と磁石の取出し

■ HDD の分解と磁石の取出し

[2002/07/22] by Nishimura Hiromi

 HDD には色々なデータが書き込まれているので、そのまま廃棄すると他人に内容を読まれる可能性があります。そこで秋田県立脳血管研究センターでは廃棄する前に HDD を物理的に破壊しゴミとして業者に引き取ってもらいます。物理的な破壊、取り出した HDD を大きなハンマーで一撃。これで終わりです。

 でも、これじゃ芸がないので中を分解してみることにしました。

● HDD のフタを空けたら

 HDD のフタを開けるとディスク円盤とヘッドのムーブメントが見えます。単純な構造のようです。

● ヘッドを動かす機構

 磁気ヘッドを動かす機構は言ってみればアナログメータと同じようです(ボイスコイルモータ)。二つの磁石の間にコイルがあり、このコイルに電流を流すと磁気ヘッドが動くのでしょう。下図は磁石の一方を外したところです。
 この磁石はとんでもなく強い磁石です。スピーカに付いている磁石とは比べものにならないくらい(危険な程)強いです。

● 磁気ヘッドのアームを外す

 この磁石を取り出してみましょう。上の磁石は2本のネジを外すと取り外せます。下の磁石は磁気ヘッドのアームを取り外してからでないと取り出せません。

● 磁石

 この磁石は接着剤で金具に固定されています。磁石だけを取り外すには金具を万力で曲げます。すると下図のように簡単に取り出す事ができます。磁石は金属光沢をしていますが。これは被覆しているだけで中は脆い材質です(たぶんネオジウム焼結磁石)。衝撃を与えたり曲げたりすると簡単に割れてしまうので注意して下さい。また金具から取り外すとき無理な力を与えると被覆が破れてしまいます。綺麗な状態で磁石を得るには慎重に、無理をしないで作業して下さい。

● 磁石は怖い

 HDD の種類にもよりますが通常2枚〜4枚の扇状の磁石が入っています。入っている磁石はとんでもなく磁力の強いものです。手の皮を挟むと血豆ができるので注意して下さい(血豆を作ってしまった)。くれぐれも子供には見せないように。

 方位磁石には近づけない方がいいです。反対に帯磁してしまい南と北が反転してしまうことがあります。これは実際に経験しました。でも方位磁石は水平になるよう作られているようで、磁針が異常に下がるので北は判ります。それからペースメーカの中には調節に磁石を使うタイプのものがあります。そんな方の胸には近づけない方が、危険です。

 それからパチンコ屋さんには間違っても持っていかないように。何もしなくても持っているだけで逮捕されるでしょう。パチンコ台には磁気センサーが取り付けられていると思います。

● 色々な磁石がある

 HDD の種類によって入っている磁石の形は異なります。下図は取り出した磁石の例です。これまでの経験から古い HDD 程大きな磁石が入っているようです(下図右)。最近の HDD は薄く小さい磁石が4枚入っています。

 15年以上前の HDD には磁石ではなくステップモータが使われているものもありました。色々と探してみるのも面白いと思います。

● 磁石の利用法

 作業台に磁石を貼付け、そこに色々な工具をくっつけています。これ思ったより便利です。特に大きなハンマーでも何も問題もなくくっつけることができます。