■ 電子ブレーカ

 [2013/05/06 11:37:15]


 ブレッドボードで電子工作をしている時、IC の逆接続。また大電流、とは言っても1A以下だが、に使う MOS FET を試している時のゲートの浮遊。結構簡単に半導体を壊してしまう。そこで便利に活用しているのが電子ブレーカです。今日は、この電子ブレーカについて紹介したいと思います。


● 電子ブレーカ(電子フューズ)


 私は電子ブレーカ、または電子フューズと呼んでいますが、回路に設定以上の電流が流れたら電源を遮断してしまう装置です。家庭用のブレーカと同じですが、家庭用の電子ブレーカだとシュートしてから遮断するまで、流れる電流にもよりますが電力の遮断に秒単位の時間になることがあります。今回紹介する電子ブレーカは、名前に電子と付くだけに応答は非常に速くマイクロ秒で動作します。あまりにも短時間で動作してしまうため、回路の電源ラインに電解コンデンサーが付いているだけで動作してしまうという欠点もあります。


● 電子ブレーカ回路図

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 上記が、+12V 用の電子ブレーカの回路図です。基本は定電流電源装置で。回路に流れる電流を1Ωの抵抗で検出し、その電圧がトランジスタの Vbe である 0.65V を越えたら MOS FET のゲート電圧を制御し電流制限を行います。肝心なのは LED の部分で、プッシュスイッチはノーマルコンタクトの状態で使います。電流が制限以下の場合には LED には電流が流れません。一旦、制限電流以上になると出力電圧が低下するので LED には電流が流れ、電流検出抵抗の電圧が低下しても LED にはトランジスタのエミッターからベースの経路で電流は流れ MOS FET のゲート電圧は電源電圧になり、出力は遮断されます。この原理で電子ブレーカとして大電流(ここでは650mA)以上流れると出力を遮断しっぱなしにします。

 プッシュスイッチを押すと(オープンすると)遮断は解除されます。このプッシュスイッチを押している状態では単なる定電流出力回路になっているので、出力側がショートしていても 650mA の電流が流れ続けます。

 制限したい電流は MOS FET のソースに接続されている抵抗で決まり、大体 R = 0.65/制限電流 で計算できます。例えば 200mA でブレーカを動作させようと思えば 0.65/0.2 ≒ 3Ω となります。トランジスタの VBE で変化するので大抵は上記計算式で得られた値より低い電流で動作するので適当に調整して下さい。私の場合、ブレットボードで 500mA 以上の回路を作る事は、まず無いので1Ωの抵抗を使っています。


 動作時間ですが、電子と名付けているよう、ほんの少しでも、パルス状の電流が流れただけでも動作するので、電源オンと同時に動作してしまうのが普通です。私の場合、上記回路のトランジスタに 1.5μF のコンデンサーを接続し動作時間を 1msec 程度にしています。これならブレッドボードの電源ラインに 100μF 程度の電解コンデンサーがあっても、電源投入時にブレーク動作しないので重宝しています。この部分のコンデンサーは必要に応じて調整して下さい。


 負電源の場合にはトランジスタを PNP から NPN 型に、 MOS FET を P型から N 型に交換し、 LED の向きを反転します。下記に参考回路図を示します。


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● 配線図

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 作る時の参考になればと、上記に電子ブレーカの配線図を描いておきます。ユニバーサルボードに作る時の参考にして下さい。


● 私のブレッドボード用電源の場合


 私がいつも使うブレッドボード用電源は下記図の様に、電子ブレーカだけではなく±5V電源も付け、ブレッドボードに刺すだけで使える様にしています。

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以上


 [2013/05/06 12:26:28]

by Nishimura Hiromi