ブレットボード用の電源


 [2015/03/26 08:45:58]

memoPicture001.jpg

写真1:ブレットボードで回路試験中の様子


 今日はブレットボード用の電源ツールを紹介しましょう。私にとってブレットボードは必 要不可欠なツールです。回路図を描くのが面倒で、ブレットボードが回路図になっています。


 上の写真1は針探知センサーの操作試験をブレットボードで行っている様子です。写真右 側にあるのが電子ブレーカ(ヒューズ)付きの電源で+5V、±12Vの電源です。回路に流れる電流が 0.6A を越えると電力供給を止める機能があります。この電子ブレーカの回路に関しては昔の記事「電子ブレーカ」に詳しく紹介しているので参考にして下さい。


● 何故に、電子ブレーカを使うのか


 ブレットボードに組上げた回路、上の写真を見て判るように部品や配線は裸になっていま す。ちょっとした拍子に抵抗やコンデンサーに力を加えると隣の部品と接触しショートする事もあります。また最近の IC はレーザーで刻印しているため読みにくく IC を反対に挿してしまう事があります。このようなミスが起こったとき、瞬時に電力の供給を止めるのが電子ブレーカです。


● 電子ブレーカの動作速度


 電子ブレーカは回路に設定値以上の電流が流れると電力の供給は停止させます。どの程度 の時間で電力供給を停止させるか。決まった数値はありません。私の場合は 1msec~10msec 程度にしています。「電子ブレーカ」の回路図にあるコンデンサーの容量を変更する事で動作速度を決める事ができます。


 試験する回路には容量の大きなコンデンサー(電解コンデンサーとか)が使われていま す。そのため、回路に電源を接続した瞬間に大電流が流れます(擬似的なショート状態)。このため、配線ミスによるショートなのか、それともコンデンサーへ の充電の為の疑似ショートなのか区別する事ができません。


 ブレットボードを使う様な回路では、そうそう大きなコンデンサーを使う訳でもないの で、電子ブレーカの応答速度を 1msec~10msec にしています。


● 電子ブレーカの問題点


 電子ブレーカの問題点、というか「電子ブレーカ」で紹介している電子ブレーカの問題点です。仮に、設定された以上の電流が流れ電子ブレーカ が動作したとします。大電流が流れた原因が判らないため電力供給を再開しようと、この回路にあるプッシュスイッチを押したとします。


 ここにこの回路の大きな問題が有ります。このプッシュスイッチ、押している間は定電流回路となってしまい、ブレット ボードの回路に大きな電流が流れっぱなしになってしまいます。せっかく電子ブレーカで瞬時に電力供給をストップしたのに、復帰操作で大電流を流してしまう という。バカな事が起こる回路です。この回路が悪いのではなく、この回路の動作を知らなかったのが悪いのです。


● 問題点の解消


 電子ブレーカの問題点である、復帰時の問題を解決する方法。もう原因は判っていますか ら解決は簡単です。プッシュスイッチを押す時間を短くすることです。では、どのようにしてプッシュスイッチを押す時間を短くするかです。


memoPicture002.jpg

写真2:PIC 制御による電子ブレーカ


で、私の解決策は「電子ブレーカ」のようなアナログ回路を止め、PIC 制御による電子ブレーカにすることでした。写真2上の基板がそれです。


 PIC 制御にする事で数々の利点が生じます。


(1)供給する電圧が回路に合っているか判断

 5V電源で設計した回路に間違って12V電源を接続するミス、結構頻繁にあります。 これを防ぐ意味で設定した電圧範囲以外では電力供給を停止する機能を組み込めます。


(2)電流設定が容易

 アナログの電子ブレーカではブレーカ電流は電流検出抵抗で決定されるので簡単に変更できません。PIC制御ではブ レーカ電流は任意に設定することができます。


(3)電圧電流表示

 ブレッドボード回路に供給している電圧や消費電流をリアルタイムに表示することがで きます。消費電力も表示できますね。それから、回路を追加した時、どれだけ消費電流が増えたのかも表示しすることができます。


(4)復帰

 最も肝心な事ですが、電子ブレーカの復帰時間も自由に決める事ができます。


● 配線図


memoPicture003.jpg

配線図


 探してみたのですが、いつもと同じで配線図は描いていなかったようです。ブレットボー ドで試験し、そのまま配線図を作ったと思われます。上記に配線図をあげておきます。


● プログラム


 上記回路のプログラムは「prog7.txt 」にあるので使って下さい。CCS-C です。上記配線図には ICSP の端子があるので PIC プログラマを挿せばオンボードでのプログラミングや修正ができます。作った当時のままなので読みにくいかもしれません。


● 感想


 電子ブレーカ、私にとって必須のブレットボードツールです。回路自体は難しく無いので 試してみては如何でしょうか。



 [2015/03/26 10:10:22] 初稿


© 2015 Nishimura Hiromi (NiS-Lab)